乳腺腫瘍とは、乳腺から発生した腫瘍のことです。犬では約50％が悪性。さらに増大・増数傾向のある腫瘍はその約50％が悪性です。

若齢で避妊手術を受けた場合は発生率が低く、未避妊の高齢犬ほど発生率が高くなります。

主な症状

乳腺部に硬いしこりを1個から複数個見つけられることが多いです。
痛みはほとんどないため、体調の変化などでは見つけにくい病気です。

診断

触診または、病変部を針生検して細胞診断で診断します。
さらにレントゲン検査や超音波検査を行い、転移を疑う病変がないかを検査します。

治療

病理検査結果によっては抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行うこともあります。
若齢（1回目の発情以前）での避妊手術が乳腺癌発症の予防になります。

症例

大きさにより予後が異なるため、胸にしこりを発見したらまずは検査を受けることをおすすめしています。

膀胱腫瘍の多くは上皮由来。悪性で移行上皮癌と診断されることがほとんどです。10kg以下の犬では発症リスクが高く、高齢（平均9.5歳）での発生が多くなっています。

主な症状

血尿や排尿困難、頻尿で来院されることが多く、身体検査で異常が見つからないことが多い病気です。そのため、発見が遅くなってしまうことが非常に多いです。

診断

尿検査や血液検査、腹部エコー検査などを用い総合的に判断します。確定診断には尿道カテーテルによる吸引で組織を採材し診断をつけます。

治療

外科手術が最も有効です。ただし尿管や膀胱三角部、尿道などを巻き込んでいた場合、膀胱全摘出術や尿路変更術などの大がかりな手術をしなければなりません。放射線療法や抗癌剤なども適応しますが、予後は厳しいケースが多いです。

症例

膀胱の移行上皮癌に対して膀胱全摘出術および包皮への尿路変更術を行いました。
良性の膀胱腫瘍に対して部分摘出を行った症例です。